保育士と幼稚園教諭の給料、平均年収は?どっちがいいの?自分に合った選択の仕方を解説!
「保育士と幼稚園教諭、給料はどっちがいいの?」と疑問に思っていませんか?どちらも子どもと関わる仕事ですが、仕事内容や必要な資格、平均年収には違いがあります。この記事では、保育士と幼稚園教諭の給料事情を、平均年収や給料アップに繋がる資格、勤務先による給与の違いなどを交えながら徹底的に比較していきます。さらに、それぞれの仕事内容や資格取得方法の違い、働き方なども解説しているので、将来保育士や幼稚園教諭を目指す人にとって、自分に合った働き方を見つけるための参考になるでしょう。
1. 保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違い
保育士と幼稚園教諭は、どちらも子どもの成長に寄り添う仕事ですが、仕事内容は異なります。仕事内容の違いを理解した上で、将来のキャリアプランを検討しましょう。
1.1 保育士の仕事内容
保育士は、主に0歳から5歳までの子どもを対象に、保育所や児童養護施設など、様々な施設で子どもたちの成長をサポートする仕事です。厚生労働省の「保育所保育指針」に基づき、子どもの年齢や発達段階に合わせた保育を提供します。
1.1.1 具体的な仕事内容
- 1.1.2 食事 食事の補助、食事のマナー指導、アレルギー対応などを行います。栄養バランスのとれた食事を提供し、健康的な食習慣を身につけるためのサポートをします。
- 1.1.3 睡眠 お昼寝の時間に布団を敷いたり、寝かしつけたり、子どもの睡眠を見守ります。子どもの睡眠リズムを整え、十分な休息が取れるようにします。
- 1.1.4 排泄 トイレトレーニングの補助、おむつ替えなどを行います。子どもの自立を促し、清潔な状態を保つようにします。
- 1.1.5 遊び 室内遊び、戸外遊び、製作活動など、様々な遊びを通して子どもの発達を促します。子どもの好奇心や創造性を育むとともに、社会性や協調性を養います。
- 1.1.6 保護者対応 家庭との連絡帳の記入、個別面談、保育参加などを通して、保護者と連携を取りながら子どもの成長をサポートします。日々の生活や子どもの様子を共有し、子育ての悩み相談に乗ることもあります。
- 1.1.7 書類作成 保育計画の作成、子どもの発達記録、日誌など、様々な書類を作成します。子どもの成長を記録し、今後の保育に活かすとともに、保護者への情報提供も行います。
- 1.1.8 環境整備 保育室の清掃、おもちゃの消毒、安全点検など、子どもが安全に、そして快適に過ごせる環境を整えます。衛生的な環境を保ち、事故や怪我を未然に防ぎます。
1.2 幼稚園教諭の仕事内容
幼稚園教諭は、主に3歳から5歳までの子どもを対象に、幼稚園教育要領に基づいた教育活動を行います。文部科学省の「幼稚園教育要領」に基づき、計画的な教育活動を通して、子どもの心身の発達を助長します。
1.2.1 具体的な仕事内容
- 1.2.2 教育活動 音楽、図画工作、体育、言語など、様々な活動を通して、子どもの豊かな感性や思考力を育みます。遊びを取り入れながら、楽しく学ぶことを大切にします。
- 1.2.3 生活指導 挨拶、食事のマナー、着替え、トイレなど、基本的な生活習慣を身につけさせます。集団生活を通して、社会性や協調性を養います。
- 1.2.4 行事の準備・運営 入園式、卒園式、運動会、発表会など、年間を通して様々な行事の企画・準備・運営を行います。子どもたちが主体的に参加し、達成感を味わえるような行事を目指します。
- 1.2.5 保護者対応 個別面談、懇談会などを通して、保護者とコミュニケーションを取りながら子どもの成長をサポートします。家庭と連携し、子どもの発達を促します。
- 1.2.6 書類作成 指導計画の作成、児童の観察記録、評価など、様々な書類を作成します。子どもの学習状況や成長を記録し、今後の指導に活かします。
- 1.2.7 環境整備 保育室や園庭の清掃、遊具の安全点検など、子どもが安全に過ごせる環境を整えます。快適な教育環境を整え、子どもの安全を確保します。
1.3 表で解説!保育士と幼稚園教諭の違い
項目 | 保育士 | 幼稚園教諭 |
---|---|---|
対象年齢 | 0歳~5歳 | 3歳~5歳 |
法律 | 児童福祉法 | 学校教育法 |
施設 | 保育所、児童養護施設など | 幼稚園 |
役割 | 子どもの生活全般のケア、遊びを通しての発達支援 | 計画的な教育活動、集団生活を通しての教育 |
勤務時間 | シフト制(早番・遅番あり) | 比較的、定時勤務 |
上記はあくまでも一般的な例であり、園や施設によって異なる場合があります。
2. 保育士と幼稚園教諭の給料事情を徹底比較!
保育士と幼稚園教諭、それぞれの仕事内容や役割の違いがわかったところで、気になる給料事情を比較していきましょう。平均年収や給与体系、給料に影響する様々な要素について詳しく解説します。
2.1 平均年収と給与体系
まずは、保育士と幼稚園教諭の平均年収を比べてみましょう。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、以下のようになっています。
職種 | 平均年齢 | 平均年収 |
---|---|---|
保育士 | 39.5歳 | 394万円 |
幼稚園教諭 | 42.5歳 | 492万円 |
上記の通り、幼稚園教諭の方が平均年収は約100万円高くなっています。年齢を重ねるごとに、その差は広がる傾向にあります。この差は、主に勤務先の違いや、残業時間、昇給率などが関係しています。
2.1.1 保育士の平均年収
保育士の平均年収は約394万円ですが、これはあくまで平均値です。実際の給与は、勤務先や経験年数、資格、地域などによって大きく異なります。
- 2.1.2 勤務先による違い 保育園、企業主導型保育施設、認定こども園、病院など、勤務先によって給与水準は異なります。一般的には、公立保育園の方が給与水準が高く、私立保育園は園によって差が大きい傾向にあります。
- 2.1.3 経験年数による違い 保育士も一般的な職業と同様に、経験年数を重ねるごとに給与は上がっていく傾向にあります。特に、主任や園長などの役職に就くと、給与は大きくアップします。
- 2.1.4 資格による違い 保育士資格に加えて、幼稚園教諭免許状や、認定こども園の園長や主任保育士の資格を取得していると、給与がアップするケースがあります。
2.1.5 幼稚園教諭の平均年収
幼稚園教諭の平均年収は約492万円ですが、保育士と同様に、勤務先や経験年数、地域などによって異なります。
- 2.1.6 勤務先による違い 公立幼稚園と私立幼稚園では、給与水準に大きな差があります。一般的に、公立幼稚園の方が給与水準が高く、私立幼稚園は園によって差が大きい傾向にあります。
- 2.1.7 経験年数による違い 幼稚園教諭も、経験年数を重ねるごとに給与は上がっていく傾向にあります。特に、主任や園長などの役職に就くと、給与は大きくアップします。
- 2.1.8 資格による違い 幼稚園教諭免許状に加えて、保育士資格や、認定こども園の園長や主任保育教諭の資格を取得していると、給与がアップするケースがあります。
2.2 給料に影響する要素
保育士と幼稚園教諭の給料に影響を与える要素は、平均年収の項目でも触れましたが、より詳しく見ていきましょう。
2.2.1 勤務先による違い
保育士と幼稚園教諭は、働く場所によって給料が大きく異なる場合があります。ここでは、代表的な勤務先別に給与の違いを見ていきましょう。
勤務先 | 特徴 | 給与水準 |
---|---|---|
公立保育園 | 公務員として働くため、安定した給与と待遇が魅力。 | 高め |
私立保育園 | 園によって給与や待遇が大きく異なる。園庭の広さや保育方針など、特色が豊か。 | 様々 |
企業主導型保育施設 | 企業が従業員のために設置する施設。給与水準は比較的高い傾向。 | 高め |
病院内保育施設 | 病院職員の子供を預かる施設。夜勤や早朝勤務など、勤務時間が不規則な場合もある。 | 平均 |
公立幼稚園 | 公務員として働くため、安定した給与と待遇が魅力。 | 高め |
私立幼稚園 | 園によって給与や待遇が大きく異なる。教育方針やカリキュラムなど、特色が豊か。 | 様々 |
認定こども園 | 幼稚園と保育園の両方の機能を持つ施設。給与水準は、公立か私立かによって異なる。 | 様々 |
上記はあくまでも一般的な傾向であり、すべての施設に当てはまるわけではありません。求人情報を確認したり、実際に施設に見学に行ったりするなどして、事前に給与や待遇について詳しく確認することが大切です。
2.2.2 経験年数による違い
保育士と幼稚園教諭は、一般企業と同様に、経験年数を重ねるごとに給与が上がっていく傾向にあります。特に、主任や園長などの役職に就くと、給与は大きくアップします。
- 2.2.3 経験年数と給与の関係 経験年数と給与の関係は、勤務先や役職によって異なりますが、一般的には、経験年数が長くなるほど、高い給与を得られる可能性が高くなります。これは、経験を積むことで、より高度な知識やスキルを身につけることができ、責任ある立場を任されるようになるためです。
- 2.2.4 役職と給与の関係 保育士や幼稚園教諭は、経験年数や能力に応じて、主任や園長などの役職に就くことができます。役職に就くと、給与がアップするだけでなく、責任や裁量も大きくなります。
2.2.5 資格による違い
保育士や幼稚園教諭は、資格を取得することで、キャリアアップや給与アップを目指せる場合があります。ここでは、代表的な資格と給与の関係を見ていきましょう。
- 2.2.6 保育士資格 保育士資格は、保育士として働くために必須の資格です。保育士資格を取得することで、保育士として働くことができるようになり、一定の給与水準が保障されます。
- 2.2.7 幼稚園教諭免許状 幼稚園教諭免許状は、幼稚園教諭として働くために必須の資格です。幼稚園教諭免許状を取得することで、幼稚園教諭として働くことができるようになり、一定の給与水準が保障されます。
- 2.2.8 認定こども園の園長や主任保育士・主任保育教諭の資格 認定こども園の園長や主任保育士・主任保育教諭の資格は、認定こども園で園長や主任保育士・主任保育教諭として働くために必要な資格です。これらの資格を取得することで、認定こども園で責任ある立場で働くことができ、給与アップも見込めます。
- 2.2.9 その他の資格 保育士や幼稚園教諭は、上記以外にも、様々な資格を取得することで、専門性を高めたり、キャリアアップを目指したりすることができます。例えば、チャイルドマインダーやベビーシッターなどの資格は、転職や独立開業にも役立ちます。また、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格は、福祉の専門職として働く道も開かれます。
資格を取得することで、必ずしも給与がアップするとは限りませんが、自身のスキルアップやキャリアアップに繋がる可能性があります。興味のある資格があれば、積極的にチャレンジしてみましょう。
3. 保育士と幼稚園教諭、どっちがおすすめ?
保育士と幼稚園教諭、どちらも子どもの成長に寄り添う魅力的な職業ですが、どちらが自分に合っているのか迷ってしまう方もいるでしょう。ここでは、ワークライフバランス、キャリアアップ、個人の強みを生かすという3つの観点から、それぞれの特徴を比較し、解説していきます。
3.1 プライベート重視なら?
仕事とプライベートのバランスを重視したい方は、保育士の方が向いているかもしれません。なぜなら、幼稚園教諭は、保育時間外にも行事の準備や書類作成など、持ち帰りの仕事が多い傾向があるからです。特に、行事の前後は、休日出勤や残業が発生しやすいため、プライベートの時間を確保しづらいと感じる方もいるようです。一方、保育士は、預かる子どもの数が多く、業務量は決して少なくありませんが、持ち帰りの仕事は比較的少ない傾向にあります。近年では、保育士の負担軽減や待遇改善に取り組む施設も増えているため、ワークライフバランスを重視しやすい環境になりつつあります。
ただし、保育園や幼稚園によって、働き方や労働時間は異なるため、事前に確認することが大切です。例えば、園のホームページで、職員の声や働き方改革の取り組みについて調べてみたり、見学や説明会に参加して、実際に自分の目で確かめてみたりするのも良いでしょう。
3.2 キャリアアップを目指したいなら?
キャリアアップを目指したい方は、幼稚園教諭の方が選択肢が広がる可能性があります。幼稚園教諭は、小学校教諭と同様に、公務員として働く道を選ぶことができます。公立幼稚園の教諭になるには、公務員試験に合格する必要があり、競争率は高くなりますが、安定した待遇や福利厚生が魅力です。また、私立幼稚園でも、経験を積むことで、主任や園長などの役職に就くチャンスがあります。さらに、幼稚園教諭免許状を取得していると、小学校教諭免許状の取得がしやすくなるというメリットもあります。小学校教諭免許状を取得するには、大学で所定の単位を取得する必要があるため、将来、小学校教諭への転職を考えている方は、幼稚園教諭として経験を積みながら、必要な単位を取得していくのも良いでしょう。
一方、保育士は、近年、企業内保育所の需要が高まっていることから、企業に就職して、保育業務だけでなく、保育施設の運営や企画に携わるキャリアパスも考えられます。また、保育士の経験を生かして、児童福祉施設や障害者支援施設などで働く道もあります。さらに、保育士資格を取得していると、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格取得がしやすくなるというメリットもあります。これらの資格を取得することで、より専門的な知識やスキルを身につけ、活躍の場を広げることが期待できます。
3.3 あなたの強みを生かせるのはどっち?
保育士と幼稚園教諭、どちらの仕事にも、子どもたちの成長をサポートするために、それぞれ異なる強みが必要です。自分の性格や得意なことを考慮して、どちらの仕事が向いているのか考えてみましょう。
保育士 | 幼稚園教諭 | |
---|---|---|
仕事内容の傾向 | 0歳~5歳児の保育 生活習慣の基礎を育む 安全な環境の確保 保護者との連携 | 3歳~5歳児の教育 集団生活を通して社会性を育む 小学校入学に向けた準備 行事の企画・運営 |
必要なスキル・適性 | 子ども一人ひとりに寄り添う細やかさ 体力と忍耐力 臨機応変に対応する力 保護者とのコミュニケーション能力 | 集団をまとめる統率力 計画性と実行力 指導力と教育的視点 保護者との信頼関係を築く力 |
例えば、子どもとじっくり関わりたい、一人ひとりの成長をサポートしたいという方は、保育士が向いているかもしれません。一方、子どもたちに何かを教えたい、集団生活を通して社会性を育みたいという方は、幼稚園教諭が向いているかもしれません。もちろん、これは一例であり、保育士と幼稚園教諭の仕事内容や必要なスキルは、園の特色や方針によっても異なります。大切なのは、自分の強みや興味関心を理解し、どちらの仕事が自分に合っているのか、しっかりと見極めることです。
4. 保育士・幼稚園教諭、それぞれの資格を取得する方法の違い
保育士と幼稚園教諭は、どちらも子どもと関わる仕事であるため、資格取得の方法が似ていると思われがちですが、実際には異なる点が多くあります。ここでは、保育士と幼稚園教諭の資格取得の違いについて、時間、費用、難易度の観点から詳しく解説していきます。
4.1 保育士・幼稚園教諭の資格取得にかかる時間の違い
保育士と幼稚園教諭の資格取得にかかる時間は、取得を目指す方の状況によって大きく異なります。大きく分けて、大学や短大、専門学校に通う方法と、保育士養成課程のない大学を卒業した方が対象となる資格取得のための試験を受ける方法の2つがあります。
4.1.1 大学・短大・専門学校に通う場合
資格 | 大学 | 短大 | 専門学校 |
---|---|---|---|
保育士 | 4年 | 2年 | 2~3年 |
幼稚園教諭 | 4年 | 2年 | 2~3年 |
大学や短大、専門学校に通う場合は、上記のように、卒業と同時に資格を取得することができます。ただし、専門学校の場合は、2年制と3年制があります。どちらの資格も、卒業に必要な単位を取得するとともに、実習を行うことが必須です。実習は、保育現場を実際に経験することで、子どもへの接し方や指導方法を学ぶことができる貴重な機会となります。実習先は、学校が指定する保育園や幼稚園で行われます。
4.1.2 保育士養成課程のない大学を卒業した場合
保育士資格を取得するには、指定された科目を大学で履修している必要があります。しかし、保育士養成課程のない大学を卒業した方は、卒業後に「保育士試験」を受験することで、保育士資格を取得することができます。保育士試験は、毎年2回(筆記試験と実技試験)実施されます。筆記試験は9科目あり、幅広い知識が求められます。実技試験は、音楽表現に関する技術(ピアノ、ギター、歌などから選択)と、造形表現に関する技術(絵画、製作などから選択)、言語表現に関する技術(お話、素話などから選択)の3つの分野から1つを選択し、受験します。筆記試験、実技試験ともに合格することで、保育士資格を取得することができます。
幼稚園教諭免許状を取得するには、大学卒業後に1年以上、大学院において所定の単位を修得し、修士の学位を取得する必要があります。その後、各都道府県の教育委員会に申請し、審査を受けることで、幼稚園教諭免許状を取得することができます。この場合、保育士試験のように実技試験はありません。
4.2 保育士・幼稚園教諭の資格取得にかかるお金の違い
保育士と幼稚園教諭の資格取得にかかる費用は、大学や短大、専門学校に通うか、保育士試験を受験するかによって異なります。また、国公立と私立でも費用が大きく異なります。ここでは、一般的な費用の目安について解説していきます。
4.2.1 大学・短大・専門学校に通う場合
入学金 | 授業料(年間) | |
---|---|---|
国立大学 | 約28万円 | 約54万円 |
公立大学 | 約28万円 | 約54万円 |
私立大学 | 約28万円 | 約93万円 |
短期大学 | 約10~20万円 | 約40~80万円 |
専門学校 | 約10~20万円 | 約50~100万円 |
上記はあくまでも目安であり、学校や学科によって費用は異なります。詳しくは、各学校のホームページなどを確認するようにしてください。なお、上記の他に、実習費用や教材費などが別途必要となる場合があります。
4.2.2 保育士試験を受験する場合
保育士試験を受験する場合、受験料として14,870円(令和5年度試験の場合)がかかります。また、独学で受験する場合には、参考書や問題集の購入費用も必要となります。専門学校などが提供している「保育士試験対策講座」を受講する場合は、数万円~数十万円程度の費用がかかります。なお、各自治体によっては、保育士試験の受験料を補助する制度を設けている場合があります。受験を検討している方は、お住まいの自治体のホームページなどで確認するようにしてください。
4.3 保育士・幼稚園教諭の資格取得の難易度の違い
保育士と幼稚園教諭の資格取得の難易度は、一概には言えません。どちらの資格も、子どもと関わる仕事であるため、高い専門知識やスキルが求められます。ここでは、それぞれの資格取得の難易度について、詳しく解説していきます。
4.3.1 保育士
保育士試験の合格率は、例年20%前後と決して高くはありません。幅広い知識が問われる筆記試験と、実技を伴う実技試験の両方に合格する必要があるため、しっかりと対策をする必要があります。特に、保育士養成課程のない大学を卒業した方は、保育に関する専門知識を独学で身につける必要があるため、難易度が高くなる傾向にあります。近年では、待機児童問題の深刻化などを受けて、保育士の需要が高まっています。そのため、国としても、保育士の処遇改善や資格取得支援などを進めています。保育士を目指す方は、こうした支援制度も活用しながら、資格取得を目指すと良いでしょう。
4.3.2 幼稚園教諭
幼稚園教諭免許状を取得するには、大学または大学院を卒業する必要があるため、保育士資格に比べて、時間や費用がかかるという点で、ハードルが高いと言えるでしょう。また、教員免許更新制が導入されたことにより、幼稚園教諭免許状を取得した後も、現職教員として一定期間ごとに、最新の知識・技能の修得のための更新講習を受講する必要があります。更新講習を受講しないと、教員として働くことができなくなるため、注意が必要です。
保育士と幼稚園教諭、どちらの資格も、子どもたちの成長に深く関わる、やりがいのある仕事です。それぞれの資格取得のメリット・デメリット、難易度などを理解した上で、自分に合った道を選択するようにしてください。
5. 認定こども園で働くには?
認定こども園は、幼稚園と保育所の両方の機能を併せ持つ施設です。そのため、働くためには保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要となるケースが多いです。しかし、どちらか一方の資格しか持っていなくても、認定こども園で働くことができる場合があります。
5.1 資格が片方だけでも認定こども園で働く方法
保育士資格または幼稚園教諭免許状のどちらか一方しか持っていない場合でも、認定こども園で働くことができる場合があります。その方法としては、主に以下の3つがあります。
- 5.1.1 もう一方の資格取得を目指す 認定こども園で長く働きたいと考えている場合は、もう一方の資格を取得するのがおすすめです。資格取得の方法は、以下の通りです。
- 保育士資格を取得する場合
保育士養成学校に通う、または指定された科目を受講して国家試験を受験する必要があります。詳細は厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。 - 幼稚園教諭免許状を取得する場合
大学で必要な科目を履修する、または教員養成課程がある大学院に進学する必要があります。詳細は文部科学省のウェブサイトをご覧ください。
- 保育士資格を取得する場合
- 5.1.2 資格取得を支援する制度を利用する 認定こども園によっては、保育士資格または幼稚園教諭免許状の取得を支援する制度を設けている場合があります。例えば、資格取得のための費用を補助したり、勤務時間中に資格取得のための勉強時間を確保したりする制度などがあります。これらの制度を利用することで、働きながら資格取得を目指すことができます。
- 5.1.3 資格がなくても働ける場合がある 認定こども園の中には、保育士資格や幼稚園教諭免許状を持っていなくても、一定の条件を満たせば採用される場合があります。例えば、保育補助や事務職員としての採用などが考えられます。ただし、資格がなくても働けるかどうかは、認定こども園によって異なるため、事前に確認する必要があります。
5.2 認定こども園で働くメリット
認定こども園で働くことには、以下のようなメリットがあります。
- 5.2.1 幅広い年齢の子供と関われる 認定こども園は、0歳から5歳までの子供を預かる施設です。そのため、幅広い年齢の子供と関わり、成長を見守ることができます。これは、保育士と幼稚園教諭の両方の仕事の魅力を味わえるという点で、大きなメリットと言えるでしょう。
- 5.2.2 保育内容が充実している 認定こども園は、幼稚園と保育所の両方の機能を併せ持つため、保育内容が充実しているという特徴があります。幼児教育と保育の両方の視点を取り入れた保育を行うことで、子供の豊かな成長をサポートすることができます。
- 5.2.3 キャリアアップの道が開けている 認定こども園は、今後ますます需要が高まることが予想される分野です。そのため、経験を積むことで、主任や園長など、キャリアアップを目指せる可能性があります。
5.3 認定こども園の探し方
認定こども園を探すには、以下の方法があります。
- 5.3.1 インターネットの求人サイトを利用する 「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンで、「認定こども園 求人」といったキーワードで検索すると、多くの求人情報サイトが表示されます。これらのサイトを利用することで、希望の勤務地や条件に合った求人を探すことができます。
- 5.3.2 自治体の窓口に相談する 各市区町村の役所の保育課などの窓口では、認定こども園の求人情報を提供している場合があります。また、希望する園があれば、直接問い合わせてみるのも良いでしょう。
- 5.3.3 保育士・幼稚園教諭向けの転職エージェントを利用する 保育士や幼稚園教諭の転職を専門にサポートするエージェントもあります。これらのエージェントでは、非公開求人の紹介や、面接対策などのサポートを受けることができます。
認定こども園で働くことは、子供たちの成長に直接関わる、やりがいのある仕事です。ぜひ、自分に合った認定こども園を見つけて、チャレンジしてみてください。
6. 保育士と幼稚園教諭の1日のスケジュールを比較
保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違いは、1日のスケジュールにも表れます。ここでは、一般的な保育士と幼稚園教諭の1日のスケジュール例を比較してみましょう。
6.1 保育士の1日のスケジュール例
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:00~9:00 | 開園準備 順次登園、健康観察、個別対応 自由遊びの見守り |
9:00~10:00 | 朝の会 体操や歌 |
10:00~11:00 | 主活動(製作、お絵描き、外遊びなど) |
11:00~12:00 | 片付け 昼食準備 昼食 歯磨き |
12:00~14:00 | 午睡の準備 午睡 午睡中の見守り |
14:00~15:00 | 起床 おやつ 自由遊び |
15:00~16:00 | 帰りの会 順次降園 個別対応 |
16:00~17:00 | 保育室の清掃 保育日誌や連絡帳の記入 翌日の活動準備 |
17:00~ | 退勤 |
※上記はあくまでも一例です。園や年齢、季節によってスケジュールは異なります。
6.2 幼稚園教諭の1日のスケジュール例
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8:00~9:00 | 出勤、朝礼 園児の登園準備 園児の受け入れ 自由遊びの見守り |
9:00~10:00 | 朝の会 朝の活動(歌、体操、読み聞かせなど) |
10:00~11:00 | 主活動(製作、お絵描き、外遊び、音楽、体育など) |
11:00~12:00 | 片付け 昼食準備 昼食 歯磨き 自由遊び |
12:00~13:00 | 帰りの会 降園準備 バス通園児の見送り |
13:00~14:00 | 昼食 休憩 |
14:00~15:00 | 預かり保育(自由遊びの見守り) |
15:00~16:00 | 事務作業(保育日誌、連絡帳記入など) 翌日の活動準備 清掃 |
16:00~ | 退勤 |
※上記はあくまでも一例です。園や年齢、季節によってスケジュールは異なります。
6.3 保育士と幼稚園教諭のスケジュールからわかること
6.3.1 保育士は、乳幼児の生活全般をサポートする
保育士は、乳幼児の食事、睡眠、排泄、着替えなどの身の回りのお世話から、遊びや学習の指導まで、幅広く行います。そのため、勤務時間は長くなりがちです。特に、早朝や夕方の時間帯は、保護者の出退勤に対応するため、残業が発生することもあります。
6.3.2 幼稚園教諭は、教育活動が中心となる
幼稚園教諭は、幼児期の教育に重点を置いています。そのため、保育士に比べて、教育活動に割く時間が多くなっています。また、保育時間外には、授業の準備や教材研究、保護者対応などを行うこともあります。幼稚園教諭は、保育士に比べて、残業は少ない傾向にあります。
これらのスケジュールはあくまで一例であり、園や担当するクラスによって異なります。より詳しく知りたい方は、厚生労働省のウェブサイトなどを参考にしてみてください。
7. 自分に合った働き方を見つけるには?
保育士と幼稚園教諭、どちらの仕事にも、さまざまな働き方があります。自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、最適な働き方を見つけましょう。
7.1 勤務形態で選ぶ
7.1.1 正社員
一般的な雇用形態で、安定した収入と福利厚生が期待できます。責任ある立場を任される機会も多く、キャリアアップを目指しやすいでしょう。残業や持ち帰り仕事が発生する可能性もあります。
7.1.2 契約社員
契約期間が決まっている働き方です。正社員と比べて雇用期間は短いですが、自分のライフステージに合わせて働くことができます。時給が高い場合もあり、短期間で集中的に稼ぎたい方に向いています。
7.1.3 パート・アルバイト
短時間勤務や週に数日だけの勤務も可能なため、家事や育児と両立しやすい働き方です。自分の都合に合わせて働ける flexibility が魅力です。収入は勤務時間や日数によって変動します。
7.1.4 派遣社員
派遣会社に登録し、希望の条件に合った職場を紹介してもらう働き方です。さまざまな職場を経験できることがメリットです。収入は派遣会社や職種によって異なります。
7.2 施設形態で選ぶ
7.2.1 認可保育園
国が定めた基準を満たし、自治体の認可を受けた施設です。保育料の補助が受けられるため、保護者にとって経済的負担が少なく、多くの園児が預けられています。保育士の配置基準が定められており、待遇面も比較的安定しています。近年では、待機児童問題の解消に向けて、認可保育園の数は増加傾向にあります。そのため、比較的求人が見つかりやすいでしょう。
7.2.2 幼稚園
満3歳から小学校就学までの幼児を対象とした教育施設です。文部科学省の管轄下にあり、教育を重視したカリキュラムが組まれています。預かり保育など、保育時間延長のサービスを提供する幼稚園も増えています。私立幼稚園の場合、独自の教育方針を掲げているところが多く、特色のある教育に携わることができます。
7.2.3 認定こども園
幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設です。教育と保育を一体的に行うことで、子どもの発達を支援します。認定こども園は、施設の形態によって「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」の3つのタイプに分けられます。近年、注目されている施設形態ですが、求人数は他の施設と比べて少ない傾向にあります。
7.2.4 企業内保育所
企業が従業員向けに設置する保育施設です。仕事と子育ての両立を支援する目的で設立されるため、保護者は安心して仕事に集中することができます。企業内保育所は、一般の保育園に比べて、少人数制で、家庭的な雰囲気の中で子どもと接することができる点が魅力です。福利厚生の一環として運営されているため、給与や待遇面で優遇されているケースもあります。
7.2.5 病児保育施設
病気や怪我をした子どもを一時的に預かる施設です。看護師や保育士が常駐し、子どもの体調に合わせて適切なケアを行います。保護者は、子どもが病気の時でも安心して仕事をすることができます。近年、需要が高まっている一方で、施設数が不足しているため、求人倍率の高い傾向にあります。専門的な知識や経験が求められるため、スキルアップを目指したい方におすすめです。
7.3 働き方事例
7.3.1 ケース1:プライベートも大切にしたい方
パートタイムで、家から近い認可保育園で働く。残業は少なめなので、自分の時間を確保しやすい。
7.3.2 ケース2:キャリアアップを目指したい方
正社員として、大規模な幼稚園で経験を積み、主任や園長を目指す。管理職の研修制度が充実している園を選ぶと良い。
7.3.3 ケース3:専門性を高めたい方
病児保育施設で、看護師の資格を活かして働く。子どもの病気に関する知識や経験を深めることができる。
7.4 自分に合った働き方を見つけるためのポイント
- 7.5 ワークライフバランス 仕事とプライベートの時間配分をどのようにしたいか、自分の価値観を明確にしましょう。結婚や出産など、将来のライフイベントも考慮しておくと良いでしょう。
- 7.6 収入 希望する収入を満たせる働き方を選びましょう。正社員、契約社員、パート・アルバイトなど、雇用形態によって収入は異なります。求人情報を確認したり、転職エージェントに相談したりするなどして、情報収集を行いましょう。
- 7.7 やりがい どのような仕事にやりがいを感じるのか、自分の強みや興味関心と照らし合わせて考えましょう。子どもたちの成長に直接関わる仕事、保護者とのコミュニケーションを重視する仕事など、保育士や幼稚園教諭の仕事は多岐にわたります。自分の興味関心に合った働き方を見つけることが大切です。
7.8 転職サイト・エージェントの活用
転職サイトや転職エージェントを活用することで、より多くの求人情報を得ることができます。また、キャリアカウンセリングを受けることで、自分の適性やキャリアプランについて客観的なアドバイスをもらうこともできます。転職サイトや転職エージェントには、保育士や幼稚園教諭の転職に特化したサービスを提供しているところもあります。積極的に活用してみましょう。
保育士と幼稚園教諭の仕事は、子どもたちの成長に寄り添う、やりがいのある仕事です。自分に合った働き方を見つけて、子どもたちの未来を育む仕事に挑戦してみて下さい。
参考資料:
8. まとめ
この記事では、保育士と幼稚園教諭の給料の違いを中心に、仕事内容や資格取得方法、キャリアパスなど、様々な観点から比較検討してきました。どちらの仕事も、子どもたちの成長に寄り添う、やりがいのある仕事です。平均年収は幼稚園教諭の方が高い傾向にありますが、保育士は私立保育園を中心に給与改善が進められています。また、勤務時間や残業時間、休日の扱いやすさなども考慮すると、保育士の方がプライベートの時間を確保しやすいと言えるでしょう。どちらの仕事にもメリット・デメリットがあり、どちらが優れていると一概に言うことはできません。自分に合った働き方を見つけることが大切です。