保育士の給料、安いのは当たり前じゃない!待遇改善のための具体的な方法とは?
「保育士の給料が安いのは当たり前」そう思っていませんか? 保育士は、子どもの未来を育む大切な仕事にも関わらず、給与水準が低い現状があります。 本記事では、保育士の給料が安い現状やその背景、そして待遇改善のためにできることを具体的に解説します。国の政策や自治体の取り組み、保育施設の努力だけでなく、保育士一人ひとりができる行動についてもご紹介します。この記事を読むことで、保育士の待遇改善に必要な知識と、具体的な行動指針を得ることができます。
1. 保育士の給料が安いと感じる現状
「子どもの笑顔に囲まれてやりがいのある仕事」、世間ではそんなイメージが強い保育士。しかし、その仕事の重要性とは裏腹に、給料の安さに悩む保育士は少なくありません。ここでは、保育士の給料が安いと感じる現状について詳しく見ていきましょう。
1.1 給与水準の低さ
保育士の給与水準は、他の職業と比較して低い傾向にあります。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は443.2万円です。これは、全産業の平均年収である561万円を大きく下回る数字です。特に、経験年数が浅い若手保育士は、手取りで20万円を切る場合もあり、生活に困窮するケースも少なくありません。
1.2 公定価格が定められている
保育士の給料が低い理由の一つに、保育料が公定価格で定められていることが挙げられます。保育料は、国が定めた基準に基づいて、各市町村が決定します。そのため、保育施設は自由に保育料を設定することができず、人件費に充てられる金額も限られてしまうのです。
年齢 | 市民税所得割額(モデル) | 第1子 | 第2子 | 第3子以降 |
---|---|---|---|---|
0歳児クラス | 770万円未満 | 7万円 | 7万円 | 無償 |
1歳児クラス | 770万円未満 | 6万2,000円 | 6万2,000円 | 無償 |
2歳児クラス | 770万円未満 | 4万6,000円 | 4万6,000円 | 無償 |
出典:令和5年度の保育料について|大田区ホームページより一部抜粋
1.3 仕事の責任と負担の大きさ
保育士は、子どもの命を預かるという大きな責任を伴う仕事です。子どもの安全を常に確保し、健康状態に気を配りながら、遊びや学習を通して健やかな成長をサポートします。また、保護者とのコミュニケーションも重要な業務の一つです。保護者の不安や悩みに寄り添い、適切なアドバイスを行うことも求められます。さらに、近年では、発達障害やアレルギーを持つ子どもが増加しており、保育士には、専門的な知識や対応力が求められる場面も多くなっています。このように、保育士の仕事は、責任と負担が大きいにも関わらず、給与水準が低いという現状があります。
1.4 特別なスキルが必要ないと思われている??
保育士の仕事は、「子どもが好き」「子どもと遊ぶのが得意」であれば誰でもできると思われがちです。しかし実際には、保育士資格を取得するために、保育に関する専門的な知識や技術を習得する必要があります。また、子どもたちの成長をサポートするためには、観察力やコミュニケーション能力、状況判断能力など、さまざまなスキルが求められます。さらに、近年では、ICTを活用した保育や、外国語を用いた保育など、新しい保育のあり方が求められており、保育士には、常に学び続ける姿勢が重要となっています。
- 保育に関する専門知識:子どもの発達段階に応じた保育内容、保育の計画と評価、子どもの健康と安全管理、保護者支援など
- 実務経験:保育現場での実習経験(幼稚園、保育園、認定こども園など)
これらのことから、保育士の仕事には、専門的な知識やスキル、そして高い倫理観が求められるにも関わらず、その仕事の重要性に見合った給与が支払われていないという現状があります。
1.5 利益を追求して運営されていない
多くの保育施設は、社会福祉法人やNPO法人など、非営利団体によって運営されています。そのため、企業のように利益を追求することを目的としておらず、収益の多くが人件費や施設の維持費に充てられます。また、国や自治体からの補助金も、運営費の一部として重要な役割を果たしています。しかし、これらの補助金は、必ずしも十分な額とは言えず、保育施設の経営は厳しい状況に置かれている場合も少なくありません。その結果、保育士の給与を十分に増やすことが難しいという現状があります。
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3. 保育士の給料が安いのは「当たり前」じゃない理由
保育士の給料が安い現状は、それが「当たり前」と受け止められてしまうこと自体が、様々な問題を引き起こす可能性を孕んでいます。保育の質の低下、人材不足の深刻化、そして社会全体への悪影響など、その影響は多岐に渡ります。
3.1 保育の質への影響
保育士のモチベーションは、保育の質に直結する重要な要素です。給与水準が低く、生活の不安や将来への見通しが立たない状況では、保育士のモチベーション維持は困難になり、結果として保育の質の低下に繋がりかねません。保育士は、子どもの成長を支える重要な役割を担っており、その質の低下は、子どもたちの未来、ひいては社会全体の損失と言えるでしょう。
- 保育士のモチベーション低下による保育の質の低下:給与の低さは、保育士の仕事に対するモチベーションや士気を低下させる要因となりえます。保育士は、子どもの成長に直接関わる重要な役割を担っていますが、やりがいだけでは解決できない現実的な問題も抱えています。モチベーションの低下は、保育の質の低下に繋がりかねず、子どもたちの健やかな成長を阻害する可能性も孕んでいます。
- 経験豊富な人材の流失:給与の低さは、経験豊富で優秀な保育士の他業種への転職や、保育業界自体からの人材流失を招く可能性があります。経験豊富な人材の不足は、保育の質の低下に直結し、子どもたちの成長に悪影響を与える可能性も懸念されます。
3.2 人材不足の深刻化
保育士不足は、待機児童問題の大きな要因の一つとして、社会問題となっています。給与水準の低さは、保育士を目指す人を減らし、離職率を高める要因となり、人材不足に拍車をかけています。保育士不足が深刻化すれば、子どもたちが適切な保育を受けられない状況が続き、少子化問題の加速にも繋がりかねません。
- 保育士不足による待機児童問題の悪化:保育士不足は、待機児童問題の深刻化に拍車をかけます。都市部を中心に、認可保育園に入園できない待機児童の問題は深刻化しており、その背景には保育士不足が大きな要因となっています。給与水準の低さは、保育士を志す人を減らし、人材不足に拍車をかける一因となっています。
- 保育の質の維持・向上の困難さ:保育士不足は、保育の質の維持・向上を困難にします。限られた人数で多くの園児を Betreuung しなければならない状況は、保育士の負担を増大させ、質の高い保育を提供することを困難にしています。
3.3 社会全体の問題
保育士の待遇改善は、単に保育士だけの問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。将来を担う子どもたちを育てる保育の現場が軽視され、そこで働く人々の待遇が低いまま放置されることは、社会の持続可能性を脅かす要因となりかねません。保育士が安心して働き続けられる環境を整備することは、社会全体の利益に繋がる重要な投資と言えるでしょう。
- 女性の社会進出への影響:保育士の多くは女性であり、保育士の待遇改善は、女性の社会進出を促進する上でも重要です。安心して子どもを預けられる環境が整えば、より多くの女性が就労し、能力を活かすことができるようになります。
- 経済効果:保育士の待遇改善は、経済効果にも繋がります。保育士の給与が上昇することで、消費が活性化し、経済全体が潤う効果も期待できます。また、保育士の待遇改善は、潜在保育士の掘り起こしにも繋がり、人手不足の解消や経済活性化に貢献する可能性も秘めています。
参考資料:
4. 実際にもらっている給料はいくら?
保育士の給料が安いと言われる一方で、実際にいくらくらいもらっているのか、イメージがわかない方もいるかもしれません。ここでは、具体的な数字を見ながら、保育士の給料の実態を見ていきましょう。
4.1 保育士の平均年収は
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は以下のようになっています。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 300万円 |
25~29歳 | 330万円 |
30~34歳 | 350万円 |
35~39歳 | 370万円 |
40~44歳 | 390万円 |
45~49歳 | 400万円 |
50~54歳 | 410万円 |
55~59歳 | 400万円 |
このデータから、年齢を重ねても年収が大きく上がらない傾向にあることがわかります。他の職業と比較すると、給与水準が低いと言わざるを得ません。
4.2 給料の安さに不満を持つ保育士は多い
実際に、保育士の多くが給料の安さに不満を抱えています。株式会社保育士バンクが行った「保育士の仕事に対する満足度、意識調査」によると、約8割の保育士が「給与水準に不満」と回答しています。その理由としては、「仕事内容の責任や負担の大きさに比べて給料が見合っていない」「他の職業と比べて給料が低い」などが挙げられています。
給料の安さは、保育士のモチベーション低下や離職に繋がり、ひいては保育の質の低下にも繋がることが懸念されています。待遇改善は、保育士にとっても、子どもたちにとっても、そして社会全体にとっても重要な課題と言えるでしょう。
5. 保育士の待遇改善のためにできること
保育士の待遇改善には、国、自治体、保育施設、そして保育士自身、それぞれの立場でできることがあります。ここでは、それぞれの立場における取り組みについて詳しく解説していきます。
5.1 国の政策
国は、保育士の処遇改善や人材確保のために、さまざまな政策を実施しています。主なものとしては、以下のものがあります。
5.1.1 保育士の処遇改善
国は、保育士の経験年数や職務内容に応じて給与が上がる仕組みを導入しています。具体的には、ベテラン保育士や主任保育士には、経験年数や職務内容に応じた手当が支給されます。また、国の財政支援を受けて、保育士の賃上げを行う保育施設に対して、補助金が支給されています。この補助金は、保育士の賃上げの費用に充てられます。政府は、2023年度から2024年度にかけて、段階的に保育士の給与を3%程度引き上げる方針を決定しています。これは、経験年数3年以上の保育士を対象としたもので、月額で約1万円の賃上げとなります。
5.1.2 保育の量的拡充
待機児童問題の解消のため、保育所の整備が進められています。保育所の整備が進めば、保育士の雇用も増え、結果的に待遇改善につながると期待されています。政府は、「子ども・子育て支援新制度」に基づき、2019年度末までに32万人分の保育の受け皿を整備することを目標としてきました。その結果、2020年4月1日時点での待機児童数は1万2439人と、過去最少を更新しました。しかし、都市部を中心に待機児童問題は依然として深刻であり、さらなる保育の受け皿の拡充が求められています。
5.1.3 保育士の資格取得支援
保育士不足を解消するため、保育士の資格取得にかかる費用を支援する制度があります。例えば、大学や専門学校で保育士養成課程を修了した場合、授業料の一部または全部が免除される制度があります。また、働きながら保育士の資格を取得しようとする人を対象に、受講料の一部を補助する制度もあります。その他にも、潜在保育士の再就職支援なども行われています。
5.2 自治体の取り組み
各自治体でも、保育士の待遇改善や人材確保に向けて、独自の取り組みを行っています。主なものとしては、以下のものがあります。
5.2.1 独自の処遇改善
国が定める給与水準に加えて、独自に手当を支給する自治体が増えています。例えば、東京都では、月額4万2000円の賃金改善を行う事業者に加え、都独自に月額3万円を上乗せする制度があります。また、住宅手当の支給や、保育士が利用できる福利厚生施設の整備などを行っている自治体もあります。
5.2.2 保育施設の運営支援
保育士の待遇改善を行う保育施設に対して、補助金を支給する自治体もあります。この補助金は、保育士の賃上げや労働環境の改善に充てられます。例えば、横浜市では、保育士の負担軽減を目的としたICT化や、事務職員の配置などを進める保育施設に対して、補助金が支給されています。
5.2.3 相談窓口の設置
保育士の労働環境改善やキャリアアップに関する相談窓口を設置する自治体もあります。これらの窓口では、労働時間や休暇の取得、ハラスメントなど、さまざまな悩みに対して、専門の相談員が対応しています。例えば、札幌市では、「札幌市保育士・保育所支援センター」を設置し、保育士の労働相談や、保育施設への巡回指導などを行っています。
5.3 保育施設の努力
保育施設自身も、保育士が働きやすい環境を作るための努力が求められます。具体的には、以下のものがあります。
5.3.1 労働時間管理の徹底
保育士は、子どもの預かり時間によって、勤務時間が不規則になりがちです。そのため、残業時間や休日出勤を減らすために、労働時間管理を徹底する必要があります。例えば、タイムカードシステムの導入や、残業時間の削減目標を設定するなどの取り組みが考えられます。
5.3.2 休暇取得の推奨
保育士は、体力的にきつい仕事であるため、休暇をしっかりと取得して、心身ともにリフレッシュすることが重要です。そのため、保育施設は、保育士が休暇を取得しやすい雰囲気作りをすることが大切です。例えば、年間の休暇取得計画を立てたり、休暇を取得しやすいように業務分担を見直したりするなどの取り組みが考えられます。
5.3.3 風通しの良い職場環境づくり
保育士が、悩みや不安を相談しやすい、風通しの良い職場環境を作ることも重要です。例えば、定期的な面談を実施したり、相談窓口を設置したりするなどの取り組みが考えられます。また、保育士同士が協力し合えるようなチームワーク作りも大切です。
6. 保育士一人ひとりができる具体的な行動
待遇改善のために、保育士一人ひとりができることもあります。現状を変えるために、積極的に行動を起こしていきましょう。
6.1 スキルアップ・キャリアアップ
保育士としてのスキルアップやキャリアアップを目指しましょう。専門性を高めることで、より良い待遇で働くことができる可能性が広がります。
6.1.1 資格取得
保育士の資格に加えて、関連資格を取得することで、専門性を高めることができます。例えば、「幼稚園教諭免許状」「認定ベビーシッター」「社会福祉士」などの資格があります。これらの資格を取得することで、保育の幅が広がり、キャリアアップや転職にも有利になります。
6.1.2 研修参加
保育に関するさまざまな研修会やセミナーに積極的に参加することで、最新の知識やスキルを身につけることができます。例えば、「モンテッソーリ教育」「シュタイナー教育」「 Reggio Emilia アプローチ」などの研修があります。これらの研修を通して、保育の質を高め、子どもたちの成長をサポートすることができます。
6.1.3 経験を積む
さまざまな年齢層の子どもたちと関わる経験を積むことや、リーダーシップを発揮できるような役職に挑戦することで、キャリアアップにつながります。例えば、乳児クラス、幼児クラス、障がい児クラスなど、さまざまなクラスを経験することで、保育士としてのスキルアップを目指せます。また、主任保育士や施設長などの役職に就くことで、マネジメント能力を身につけ、キャリアアップにつなげることができます。
6.2 役職に就く
保育施設内での役職に就くことで、給与アップや責任ある立場で働くことができます。主任や施設長などのポジションを目指しましょう。
6.2.1 主任保育士
主任保育士は、保育施設において、他の保育士の指導や育成、保育計画の作成などを担当します。主任保育士になるためには、一定の経験年数や、リーダーシップ、指導力などが求められます。主任保育士になると、給与がアップするだけでなく、保育施設全体の運営に携わることができるなど、やりがいを感じられる仕事です。
6.2.2 施設長
施設長は、保育施設の運営全般を統括する責任者です。施設長になるためには、豊富な経験と高いマネジメント能力が求められます。施設長になると、給与が大幅にアップするだけでなく、保育施設の経営にも携わることができるなど、大きなやりがいを感じられる仕事です。
6.3 給料が高い保育所に転職する
保育士の需要は高く、転職市場も活発です。給与や待遇に不満がある場合は、転職を検討してみましょう。より良い条件で働ける可能性があります。
6.3.1 転職サイトの活用
保育士専門の転職サイトや、一般的な転職サイトを利用して、自分に合った求人を探してみましょう。転職サイトでは、給与や待遇、勤務時間などの条件から求人を絞り込むことができます。また、転職エージェントを利用することで、非公開求人の紹介や、面接対策などのサポートを受けることもできます。
6.3.2 転職フェアの活用
保育士向けの転職フェアが定期的に開催されています。転職フェアでは、複数の保育施設の担当者から、直接話を聞くことができます。転職フェアに参加することで、求人情報誌や転職サイトでは得られない情報を得られることもあります。
6.3.3 人材紹介会社の活用
保育士専門の人材紹介会社を利用するのも良い方法です。人材紹介会社は、転職希望者の希望や条件に合った求人を紹介してくれるだけでなく、面接対策や条件交渉なども代行してくれます。
6.4 労働組合への加入
労働組合に加入することで、待遇改善の交渉を団体で行うことができます。また、労働問題に関する相談やサポートを受けることもできます。
6.4.1 保育労働者組合
保育労働者組合は、保育士の労働条件の改善や、保育の質の向上を目指して活動している労働組合です。保育労働者組合に加入することで、団体交渉による待遇改善や、労働問題に関する相談、情報提供などのサポートを受けることができます。
6.4.2 日本労働組合総連合会(連合)
日本労働組合総連合会(連合)は、日本の労働組合の中央組織です。連合に加盟している労働組合は、さまざまな業種にわたっています。連合に加盟することで、労働に関する法律や制度に関する情報を得たり、労働問題に関する相談をしたりすることができます。
6.5 情報発信
保育士の現状や待遇改善の必要性について、積極的に情報発信していくことが大切です。SNSやブログなどを活用して、多くの人に現状を知ってもらいましょう。
6.5.1 SNSでの発信
TwitterやFacebookなどのSNSで、保育士の仕事内容や待遇、労働環境などについて発信することで、多くの人に現状を知ってもらうことができます。また、ハッシュタグをつけて発信することで、同じように保育士の待遇改善に関心を持っている人とつながることができます。
6.5.2 ブログでの発信
ブログで、保育士の仕事内容や待遇、労働環境などについて、より詳しく発信することができます。写真や動画などを活用することで、より多くの人に現状を伝えることができます。また、ブログを通して、他の保育士と意見交換をしたり、情報を共有したりすることもできます。
6.5.3 メディアへの情報提供
新聞社やテレビ局などのメディアに、保育士の現状や待遇改善の必要性について、情報提供することができます。メディアに取り上げられることで、多くの人に現状を知ってもらい、待遇改善に向けた動きを加速させることができます。
7. 保育士一人ひとりができる具体的な行動
保育士の待遇改善は、国や自治体、保育施設の取り組みだけでなく、保育士一人ひとりの行動も重要です。ここでは、保育士一人ひとりができる具体的な行動について解説します。
7.1 スキルアップ・キャリアアップ
保育士としてのスキルアップやキャリアアップは、自身の市場価値を高め、より良い待遇を求めるための有効な手段です。具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
- 資格取得:保育士資格の上位資格である「幼稚園教諭免許状」や「児童指導員任用資格」の取得を目指す。
- 研修受講:民間団体や自治体が開催する専門的な研修に参加し、スキルアップを図る。例えば、「公益財団法人児童育成協会」などが主催する研修などがあります。
- 経験を積む:様々な年齢層の子供たちの保育経験を積むことで、対応力や指導力を高める。
これらのスキルアップやキャリアアップを通じて、保育士としての専門性を高め、自身の価値を高めることが重要です。
7.2 役職に就く
保育施設によっては、主任や園長といった役職に就くことで、給与がアップするケースがあります。役職に就くためには、経験や実績、リーダーシップなどが求められます。日々の業務の中で積極的に責任ある役割を担い、周囲からの信頼を得られるように努力することが大切です。
7.3 給料が高い保育所に転職する
保育士の給与は、保育施設によって異なります。そのため、給与待遇に不満がある場合は、より給与が高い保育施設への転職を検討することも有効な手段です。転職活動を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 求人情報の収集:保育士専門の転職サイトや求人情報誌などを活用し、様々な保育施設の求人情報を収集する。
- 施設見学:実際に施設見学を行い、職場の雰囲気や保育方針などを確認する。
- 面接対策:転職理由や自己PRなどをしっかりとまとめておく。
転職は大きな決断ですが、自身のキャリアプランやライフスタイルに合った職場を見つけることが重要です。
7.4 労働組合への加入
労働組合に加入することで、団体交渉を通じて労働条件の改善を図ることができます。保育士の場合は、「日本保育労働者会議」などの労働組合があります。労働組合に加入することで、以下のメリットがあります。
- 団体交渉権の確保:労働組合を通じて、使用者側と労働条件について交渉することができる。
- 情報収集:労働に関する法律や制度、業界の動向などの情報を得ることができる。
- 相談窓口:労働問題に関する相談窓口として利用できる。
労働組合への加入は、保育士の権利を守り、より良い労働環境を実現するために有効な手段です。関心のある方は、一度労働組合に相談してみることをおすすめします。
7.5 情報発信
保育士の待遇改善には、社会全体で保育の重要性や保育士の仕事の価値を理解してもらうことが不可欠です。そのためにも、保育士自身が積極的に情報発信していくことが重要です。情報発信の方法としては、以下のようなものがあります。
- SNSでの発信:自身の仕事内容や保育に対する思いなどをSNSで発信する。
- ブログやWebサイトでの発信:自身の経験や知識を活かして、保育に関する情報を発信する。
- 書籍の出版:自身の経験や考えをまとめた書籍を出版する。
これらの情報発信を通じて、保育の現状や保育士の仕事のやりがい、そして待遇改善の必要性について、社会全体に訴えかけていくことが重要です。
保育士一人ひとりの行動が、保育の質の向上と保育士自身の待遇改善に繋がっていきます。自分自身のキャリアプランやライフスタイルに合わせて、できることから取り組んでいきましょう。
8. まとめ
保育士の給料が安い現状は、保育の質の低下や人材不足など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。 保育は、子どもたちの未来を育む大切な仕事であり、その責任と負担に見合った待遇が必要です。 待遇改善のためには、国や自治体の政策、保育施設の努力に加えて、保育士一人ひとりの行動も重要です。 スキルアップやキャリアアップ、労働組合への加入、情報発信など、自分にできることから取り組んでいきましょう。